この記事では、盛大に回り道しながらデジタル造形でミニチュアを作った(3Dデータ作成、3Dプリント、着彩まで)過程をまとめています!(おそらくフィギュア制作にも同じ手が使えるはず。)
かなり長い記事なので、目次やページ内検索をご活用ください!
【2024年追記】 この記事を書いてから2年以上経過しました。
情報が古くなっている可能性がありますが、創作活動の再開やプロセスなどは
誰かのお役にたてるかもしれないので消さずに残しておきます!
この記事がお役に立てそうな方
- デジタル造形に興味があるけど、どこから手をつければいいか、全くわからない方。
- 手順がわかれば、ある程度独学ができそう(したことがある)な方。
- 専門のスクールにかようお金 or 時間がない方、または趣味の範囲で小さく始めてみたい方。
目次
- 1 この記事の基本方針について
- 2 この記事の特徴=情報の間を埋める。
- 3 00: 改めまして、私について。
- 4 01: デジタル造形をやりだした、きっかけ。
- 5 02: 苦戦!Nomad Sculpt(iPad)
- 6 03: 王道のZBrush(体験版)で、デジタル造形を学ぼう
- 7 0.35:ガチ初心者のためのZBrushのおすすめ教材(覚え方)
- 8 04: リアル世界の粘土造形を学ぶ。
- 9 05: ZBrush(無印)を買う
- 10 06: 【重要】3Dプリンターの”所有”を検討する。
- 11 07: 3Dプリンター本体と関連グッズを買う。
- 12 08: 材料のレジンを買う。
- 13 09: 3Dデータと、スライサーソフトを準備する
- 14 10: 3Dプリンター、初起動
- 15 11: 出力した作品に、色塗りをしよう!
- 16 12:ざっくり、まとめ。
- 17 NEXT ACTION?
この記事の基本方針について
はじめに…….この記事を作成するにあたり、書籍・動画・ブログ記事・対面などで情報提供してくださった、先駆者の皆さまに心からお礼を申し上げます!
「やりたいことはあるけれど、何をどうすればいいかわからない…」を1つ1つ潰して、主な目標だった「自分でミニチュアを作って塗る」をやることができました!
NomadScuptで30分で作ったチンチラ。
たまに人に見せる機会があるのですが「なんともいえない味のある作品だね」「ゆるゆるで好きだけど、少なくともチンチラではないよね」と、高評価をいただいております!
DELTARUNE(デルタルーン)のラルセイくん。
NomadSculptでベース作り、ZBrushで作り込みしたもの。いつかUndertaleのキャラクターも作ってみたいです。
本格的な人体や、彫刻作品、リアルめの造形などにも少しづつチャレンジしていきたいですね。
今思うと、
最初の目標を「ポーズ付き!衣装バッチリ!美少女フィギュアを作るぞ!」とか、
「決め顔のカッコいい人間フィギュアを作るぞ!」……にしなかったことで、デジタル造形を続けられ要因かも……と思っています。
リアル人間を作るのも難しいけど、アニメ・漫画のキャラクターの立体化って先人の英知の結晶だからね。(※粘土で顔を作って、改めてそう感じました)
2024/9追記 そこから だいぶ立って、人形フィギュアを作って、塗るも達成。
2024年冬のワンフェスで初展示し、以降のワンフェスやデザフェスで手元におけるサイズのものを販売していたりします。
この記事の特徴=情報の間を埋める。
先駆者の情報を頼りに、少しづつモノづくりを進めていたのですが、やり始めは「この部分ってどうやるんだろう?」とか、そもそも何が必要かがわからなかったり、という状況が何度か発生しました。
今思うに、特定の領域間の情報が抜けていて、そこでつまづいたのだと思います。
例えば…
- そもそも造形力をやったことがないが、1番最初のとっかかりがわからない。
- 3Dモデルの作り方はわかるけど、その先の3Dプリンターとの繋ぎ込みがわからない。
- 3Dプリンターで出力した後、どのように片付けて、次の着彩に移っていいのか?
などなど。
なので、この記事では「具体的な内容は 先駆者の情報を見ていただき、情報の間を埋めていけるような内容」にしていきたいと考えています。
主に、以下のような内容です。
自分の場合は結構回り道をしてしまいましたが、ざっくりいうと以下の手順を踏めば、作れます!
- 作りたいものを知る、考える(実は重要)。あの手この手で形を作ってみる。
- 自分が作ってみたいものは、案外形を知らなかったりします。現実世界のもの、好きな作品(漫画・アニメ・ゲーム、その他!)のもの問わず……なので、造形するつもりで観察しなおしたり、絵が描ける人は描いてみたり、粘土に抵抗がない人は先に作ってみたり。
- 3Dデータを作る(ZBrushやNomadSculpt)
- ZBrushの教材で学べばデジタル造形の基本は抑えられる。
- デジタル造形自体がピンとこない人は、アナログ造形をやるとイメージが掴みやすくなります。
- 3Dプリンターや道具の導入を検討・準備しする
- 具体的にどの機種?や個人所有のメリット、デメリットをメディア特性上言いづらい方が多いと思うのですが、今回この記事でかなり踏み込んで書きました。
- スライサーソフトで3Dプリントの準備をするる。
- 意外とZBrush教本から、この流れの説明は少ない。「ChituBox ZBrush」でぐぐったり、YouTube動画で調べたりすると先人がやり方を完全レクチャーしてくださってるので理解できます。
- 3Dプリントを実施
- これもYoutubeやブログで準備から、後片付けまで学べます。
- 色を塗り、写真にとって、ニッコリする
- SNSやらブログやら、アート系WEBサービスにアップしちゃいましょう!
最近はスマホでの3Dスキャンが超進化しており、粘土などで造形したものを3Dスキャンして、
3Dデータ(デジタルデータ)にすることもできちゃいます!素晴らしいことなので以下記事でガッツリ解説しました!
【2024/09 追記】現在は個人的には様々なフォトグラメトリを試し、上記以外の更に良いやり方を発見しています。
どこかで記事化しますね!
00: 改めまして、私について。
はじめめに、私のベース情報をお伝えします。
意外と飛ばされがちな情報ですが、「本当にアナログもデジタルも造形をやったことない人」も「本職が3DCGモデラーやグラフィッカーの方」も同じ「ミニチュア/フィギュア原型の初心者です」と括られてがちなため、自分のステータスについては、少し細かめに記載します。
スペック的なもの
僕はモノづくりやDIY全般が好きです…が、いわゆる「下手の横好き」タイプです。
今回みたいなミニチュア制作・塗装は2022年に入ってから始めました。
また美大や専門学校を出てるわけではないため、いわゆる美術教育は義務教育課程ぐらいで止まっています。
”設計”という意味でのデザインは少し学んでいましたが、デッサンやねんど彫刻を開始したのは今年(2022年)に入ってからです。
とはいえ。学生の時にクリエイティブ系ソフトを使うことがあったため、
パソコンやMac、iPad等のデバイスやソフトに対して「完全な初心者」ではありません。
このおかげで、新しいソフトを触っても、「なんとなく、これはできるだろう」という感覚があります。
ソフトの操作ができることと、人の感情を揺さぶる作品作りができることが、
イコールではない……ということはわかっているつもりです。
01: デジタル造形をやりだした、きっかけ。
それは昨年末&年始のお休み中の出来事でした。
僕はたまにたま「絵/イラスト」に関する本を読んでいました。(こんな記事を書いちゃう位には興味があります)
そしてある日、私は寺田克也氏の「絵を描いて生きていく方法?」(2015年10月発売)という本を再読中に、興味深い内容を目にしたのです。
いわく「普段はイラストを描くが、 息抜きに造形もする。一時期は老眼でやめていたけど、今は無料のデジタルツールで楽しく造形している。」…要約するとこのような内容でしたが、個人的にはかなり衝撃的でした。
なぜならば、仕事がら3DCGソフトを使う事がなく、3D系ソフト自体も高価なイメージがあったので「自分が使うイメージ(しかも楽しむために)」がなかなか湧かなかったからです。(この時は無料のblenderが超進化していることも知らない。)
しかし、ZBrushライクなスカルプトリスという無料ソフトで造形を楽しめることを知りました。
「なんと、これは面白そうだと!」思って、早速ダウンロードしようと探しました!
ところがいくら探しても見当たらない……。
よくよく調べてみると、スカルプトリスの開発者がZBrush開発元のPixologicに入社し、2020年にサポート終了したことを知りました。…おぉ、なんてこった。
代わりに現在ではZbrushCoreMiniという無料版が公開されています。
ただ、僕はこの当時、ポリゴン数の目安も全く知らなかった為、一瞬でポリゴン上限(たしか70万ポリゴン)に達してしまい…
細かいものは作れない…製品版を買うしかないのか…
とがっくりきた記憶があります。
このポリゴン数の目安がわからないのも、初心者の怖いところ。
今では70万ポリゴンも使えれば結構作れることがわかりますが、この時は知らなかったのです…。
人体のきれいな曲線を作りたかったら、実はハイポリゴンじゃない作り方のほうが良かったりするんですよね。
寺田克也、iPadに移行。イラストも3DCGも。
ここでふと「今現在、寺田克也氏は何で造形してんだろう?」と疑問に思い、ネットで調べました。
そうすると今は iPad Proで絵を描き、 3DCG造形もやっていると書いているではありませんか!
でそのソフトの名前がNomadSculpt(ノマドスカルプト、以下nomad)という名前でした 。
iPadのZBrushライクなソフトは他にもあったのですが、寺田克也神が使ってるんだったら、それにしよう!
と、インストールして遊び始めました。
これが、(デジタル)造形に足を突っ込み始めたきっかけとなります。
iPad版のnomadは2000円くらいでしたが、ZBrush(無印・フル機能版)は約10万円ほど、ZBrush Core(廉価版)は約2万円だったので、
お試し価格としてはOKな金額でした。
ちなみにこの開発者のかた、ブラウザだけで動く3Dスカルプトツールも作ってます!
これを触ってみるのもOKかと!(すごいなぁ
https://stephaneginier.com/sculptgl/
02: 苦戦!Nomad Sculpt(iPad)
ただ当然ではあるんですが…アナログもデジタルも造形初心者な自分が、いきなり形を作れるわけはなかったです。
nomad自体は、自分のiPadPro(2018)でもサクサク動いて操作感が抜群。
なによりケース兼キーボードの「smart keyboard folio」のショートカットで視点変更がすぐにできる点が便利でした。
ただ、何といっても…….情報源が少ない!日本語はほぼ壊滅的、英語圏もそんなに無い印章…。
ZBrushと比べるとその差は歴然。(さすが十年以上ユーザーの濃いコミュニティを構築し、信頼を得ている会社は違う…書籍もネット情報も、膨大!)
3DCG界隈のことはあまり詳しくないのですが…
ZBrushコミュニティは公式/非公式問わず困った人を助けてくれる世界で、優しい世界だなと思いました…
実はnomadも、神様のような人がおりBoothで日本語の使い方マニュアルを書いてくださっています。
が、そもそも「デジタルで造形するってどういうこと?」という基礎を学ぶ必要を強く感じたのでした。
03: 王道のZBrush(体験版)で、デジタル造形を学ぼう
こんな時は業界標準、みんなが使ってるZBrushをまず覚えようと思い、早速勉強を始めました!
前提として「やりたいことが明確なのであれば、ソフトの使い方自体は独学できるのでは?」と考えていました。
統合環境(使ったことないけどMAYAとか3ds Max)は習得だけで何年もかかりそうですが、ZBrushの場合はスカルプト特化ソフトでやりたいことも明確なので、頑張れば独学でも行けるんじゃないかなと思っていました。
そのようなわけで、ZBrush体験版を落とし教本を読みながら触っていました。
ZBrushをインストールしたパソコン(スペック)について
普段の仕事はMacBookで行っていますが、趣味(楽しみ)と仕事を切り離したいタイプだったので、ZBrushは趣味用Windows機にインストールしました。
ZBrushは「そこそこ良いCPUとメモリをたくさん積めば動く」と聞いていたのですが、こちらの認識であっていました!
- 例1:デスクトップ機。Intel Core i7 3770K、メモリ16GB、ロースペックグラボ(GTX1050Ti)あり=動く!
- 例2:ノートPC。Intel Core i7 4800MQ、メモリ16GB、グラボなし=動く!
上記、どちらも中古のビジネス用PCで、10年近く前のプロセッサですが「重くて作業にならない」という感覚なく、スカルプトができていました。
どちらかというと、メモリーが埋まるイメージです。それでも、16GBも積んでいればなら1000万ポリゴン以下なら大丈夫かなと。。。
クリエイター向け、またはゲーマー向けPCでなくても動くのはありがたいですね。
ちなみにBlenderの場合は、グラボが無いと動かすのは結構しんどいです。
自分の場合はデスクトップ機にグラボ「GTX1050Ti」を入れていたのでBlenderが動きましたが、
ノートPCは終始カクカクな状態でした。
話はそれますが「GTX1050Ti」位あれば中~低レベルの画面設定にすればサイバーパンク2077(ゲーム)も遊べます。
パソコンでデジタル造形(Blender)をして、かつちょっとゲームもしたい方の目安になれば幸いです。
0.35:ガチ初心者のためのZBrushのおすすめ教材(覚え方)
教材はZBrushでオスメメ・定番とされているものを当たってみました。
今のご時世、Youtubeで神様のような人のメイキング&タイムラプス動画も、チュートリアル動画を見ることもできます。
(もちろん公式の「Pixologic Japanのチャンネル」で日本語音声の解説も見れる!ありがたい…!)
ただ当然ながら「ある程度わかってる人」が対象になるため、ちょっと気を抜くと「まった、一気に良くなったんだけど何が起きたの!?」が発生しやすくなります。
なので最初の最初は、ガチ初心者向けの教材と見る・読むをやりましょう。
全体像を知ることができれば「あ、あの機能のことかな?」と推測できるようになるので、後々の習得スピードが早くなっていきます!
ブレスターさんの赤鬼DVD
まずは赤鬼DVDこと、ブレスターさんの動画を見ていました。
発売日は10年くらい前ですが、とにかく丁寧で、初心者がつまづくところをフォローしてくれ、非常にわかりやすかったです(あとイケボ)。
Amazonレビューを参考にしつつ、重要な点をピックアップして試聴していました。
次に何冊かの教本を買い漁り、自分の目的やわかりやすさから、やり込む書籍を選定しました。
作って覚える! ZBrushフィギュア制作入門
まずは初心者向けとして以下をやり込みました。
赤鬼 DVDでZBrushの世界観を知った後に取り組んだので、やり終える頃にはZBrushでさまざまなやり方でデジタル造形ができることを理解できました。
特にこの書籍は一冊でハードサーフェース、サブディビジョンモデリング、ローポリ、そしてダイナメッシュでの作成方法などを一冊で、かつ自然な流れで学べるようになっているため
※この書籍は今年の6月にリニューアル版がでていますが、そちらは読んでません。気になる。。。
作って覚える! ZBrushフィギュア制作チュートリアル
買いました&読みました!
いつかまとめますが…。3Dモデルを作り、家庭用3Dプリンタで出力する事を前提にデータを加工~スライサーソフトに送り、出力したものを洗浄&硬化させ、最後はシタデルカラーで筆塗りペイントするという、この記事でやりたかったことがほぼ網羅されていました笑。
ただ、結構ボリュームがあります。自分の場合は「一度”~フィギュア制作入門”を通しでやっていた」ので、似た工程だけど前著とは違う作り方するんだなぁ、と思える余裕が生まれたりしたので、両方やると”知識を得る&体で覚える”が促進された感覚があります。
作って覚える! ZBrushハードサーフェス制作入門
こちらはハードサーフェースのお話がメインで難易度高いです。
ハードサーフェース(ロボ・メカ等の人工物)は自分が作りたい方向性ではないかな?と思っていましたが、
美少女フィギュアのような滑らかな曲線美はこの機能を活用して作っていたり、
ZBrushの機能”ZModeler”で様々なものが作れることを知って、一部覚えました!
後半のページに造形物の複製方法についてかなり詳しく載っているので、そういう意味でもオススメです。
ZBrushでメカを作る! ZModeler超入門
上記の本が難しい方には、わかりやすさに定評のある、のぶほっぷ先生の本をどうぞ!
※素晴らしい書籍・動画をありがとうございました!
ZBrush系の教材は、ちょっとクレイジーな感じで買ったり読んだりしていたので、
これはこれで別記事にまとめる予定です。
さて、ZBrushを学び始めてしばらくすると、どんな機能で、何ができるかがわかってきました。
とはいえ、ツールが使える=いいものが作れるは、成り立たないわけで…
それは当たり前の話ではありますが、ツール(道具)のオペレーションを学んでも、良いアウトプットができるわけではないのですよね…
具体的には「意味のある形が作れない」。
プリミティブメッシュ(基本的な形)をくっつけて動物っぽいものを作ったり、ブラシでなでたりするのですが……ただ、これって自分がやりたい事だっけ?と。
ZBrushは多機能なので、ツールに飲まれてしまった感がありました。。。
映像やゲーム・フィギュア造形師など、本業クリエイターの方が仕事で使うソフトだからね。
04: リアル世界の粘土造形を学ぶ。
ZBrushを学習したおかげで、デジタル造形の大まかな流れを理解することができました。
一方で、ZBrushに頼りっぱなし感もあり「リアル世界で造形/彫刻を学びたい」と思いました。
…が、ないのです。うーん困った。
そのようなわけで、一時期は造形を学ぶ一環で、デッサン教室に通っていました。
観察眼や、モチーフのプロポーション・全体像を見る力、全体から細部へ徐々に迫る力は養われたのですが…
リアル世界で立体物を、彫刻をやりたいのです。。。!
そんな時に、自分のやりたいことを学べる粘土塑像の世界をしりガッツリ取り組んで行きました!
NSP粘土で作る楽しさ・難しさを学び、創作活動全体が大きく飛躍した瞬間でもありました!
"自分で作る彫刻"というきっかけが組み合わさり、2022年はデジタルもアナログも造形元年になった、印象的な年になりました。
なぜ好きだったはずの創作活動を封印したり、意を決して再開しても継続できなかったのか。自分でもうっすら気がついた事を内省して、そこから「楽しく作る、作ったものを人に見せる」のサイクルに入れたきっかけになりました
05: ZBrush(無印)を買う
さて、様々なイベントや教室に参加し、本職&複業クリエイターの方とたくさん交流し……
いよいよ「ZBrush(無印)」と「3Dプリンター」を購入する決意をします!。
ただ、時期としてはPixologic社がCinema4DのMaxon 社に買収された後で、さまざまな噂が飛び交って、ちょっと大変でした。
具体的なお話は伏せる!!
ただ買い方に関して…… 最終的には直販で自分は購入しました。
英語対応が必須なので大変だという話もあったのですが……自分が買ったタイミングなのか、一部ページが日本語対応されていました。
(Maxon社に買収されたりした影響があったのかもしれません。)
もしかすると今は代理店経由の方が安いよ!などあるかもしれませんので、購入される際はご注意を!
実は他ソフトも調べていた。
3DCGソフトの中で比較的安価に買えるZBrushですが、それでも10万円前後はします。
この一方、無料のBlenderも超進化を遂げおり、そのものズバリな「スカルプトモード」も搭載。
ちょっと調べを入れておりましたが、以下の理由からやっぱりZBrushを購入しました。
- 3DCGの統合環境としてBlenderは良い選択肢。スカルプトモードもある!
- ただ、統合環境ゆえに、デジタル造形に特化したblenderの教材はなかった。
- 自分のやりたいことが「自分のミニチュアを作りたい」だったので、アニメーション・物理演算などはちょっと過剰スペック。
Blenderの日本語書籍はたくさんあるのですが、この点がネックになってスカルプトモードの紹介が数ページで終わるケースが結構ありました。 - BlenderはそれなりのCPU、グラボを積んでないと、重くて操作不能になる。
- 自分のやりたいことが「自分のミニチュアを作りたい」だったので、アニメーション・物理演算などはちょっと過剰スペック。
- ただ、レンダリングが結構使えそうなので、全体像は教本でさっと確認。
- ZBrushもKeyshotという専用レンダラーがあるけど、それなりに高いのでしばらく様子見。(…というより、ZBrushでデータ作って、Blenderでレンダリングするだけでもかなりキレイに撮れます。)
教本は以下がもっとも網羅的で、特に知りたかったレンダリング周りの理解が一気に進んだのでオススメです。
さてZBrushを購入したことで、朝活や土日の時間を使って少しづつ練習・習作が習慣化していきます。
実はYoutubeに世界中の3Dモデラーさんが制作中の動画をアップしてくれていたんだけど、
タイムラプス前提なので、「いきなりリアルになったけど、なにが起きたの…?」みたいな状態がよくあったのです。。。
機能とか、やり方を事前に知っていると「なるほど、ここでこれ使うのか」って気がつけるんだけどね。
ZBrushスカルプト環境を整備する。
こちらは後ほど詳細を追記しますが、左手デバイスとして、以下がオススメです。
※ZBrushが対応したのも、たしか2021からだったはず。。。
ちなみにWindowsでも、Macでもどちらでも使えます。
外出作業用にNomad Sculptの練習もする。
ここでiPadで動くNomadSculptも触り始めます。
実はNomadSculptはZBrushにかなりユーザー体験を寄せているため、
ZBrush向け教本をやり込むと、その知識がほぼNomadでも応用できます。
例:ペン(タブレット)と、alt/shift/ctrlがあれば、だいたいなんとかなっちゃう的な。
もちろんZBrushの方が機能は超リッチです!「この機能はないのか。。。」と思うこともあります。
が、家でガッツリ作業をする場合は除くとして、出先で「ちょっと作るか」と思える荷物に収まるかは結構大事かなと。
- 例えばiPad Pro + Apple Pencilであればとりあえずカバンに突っ込めます。(重量1kg前後・省スペースで。)
- ノートPC、板タブレット、マウス、その他装備を一式準備となるとそれなりな重量とスペースの確保、諸々の「覚悟」が必要になります。
【2023/01/30追記】
NomadSculptの初期導入、フィギュアの作り方などをまとめた記事を書きました!
06: 【重要】3Dプリンターの”所有”を検討する。
家庭用3Dプリンターの進化には目を見張るものがあります!
3Dプリンターの出始めやMakerムーブメントの時に調べた時は「興味はそそられるけど、個人所有者できる値段や大きさではないな」と思っていました。
それが今では「この解像度、印刷スピードで、3万円代で買えちゃうの?」というレベルまでになりました。
こうなると「とりあえず買ってしまって、後から運用方法を考えようよ」という、ささやきが聞こえてきますが。。。ちょっと冷静に考える必要があります。
3Dプリンターを設置する専用部屋を用意できるか?
3Dプリンターは一度稼働させると3〜10時間以上は稼働しっぱなしとなります。
それは、決して無臭とは言えないレジン臭が常に発生し続けることを意味します。
動作音も昔と比べてかなり静かになったそうですが、それでもそれなりの音が発生し続けます。
また、長時間の出力中にお子様やペットがぶつかったら、非常に危険です。(作品は再出力すれば良いですが…)
となると、3Dプリント中は完全に他の部屋と隔離できるスペースが必要になります。
上記の課題感から、みなさまに「どこに3Dプリンターを置いているんですか?」と伺った事があるのですが、
「ベランダに簡易物置を設置してその中で出力する」や「使う時だけトイレに置いている」という方もいらっしゃいました。
ただ、材料のレジンの適性温度を見ると「25-35度」と書いてある(SK本舗さんの場合)ので、夏はともかく冬は室内でプリントしないとうまくいかない可能性がありそうです。
3Dプリンターを”所持する”メリットとして、
- 自分のアイデア(作品)を気軽に、すぐに試すことができる。
- 専門の業者に依頼するよりも、安く試すことができる。
などもあるのですが「もし自分以外に生活を共にする方(ペット含む!)」がいる場合は….
レジンだけを先に購入し、臭いを許容できるか、どの程度部屋を分ければ問題ないか事前にチェックして
許容できない場合は業者に依頼することも考えた方が良いです。
夢をぶち壊すことを書いていますが、「デジタル造形(レンダリング)で完結」と違い、
化学薬品をつかって出力する関係上、これくらい意識した方が、後がスムースになります…!
もし設置場所があり、臭いチェックもパスできれば、次に進みましょう!
自分がよく使ってる水洗いレジンはこちら
自分はこの後、ELEGOO社製の3Dプリンターを買ったので、ELEGOO純正の水洗いレジン・色はグレー(テコラッタ)を購入しています。
グレーは形の特徴をつかみやすいのでプリント後の形状チェックにも使えます。
一方でSK本舗さんのレジン。ちょっと高いですが、色が豊富(特にクリア系)で、最近だと「ゴムっぽい」レジンなど、色々出ています。
自分は肌色を買って人間(フィギュア)を出力するときに使ってます。
レジンの臭い、有害性の理解、ご家族の理解は「3Dプリンター導入の要」です。
この後さらに詳しい説明を、もう一度いれています。
07: 3Dプリンター本体と関連グッズを買う。
ZBrushを購入してしばらく遊んだ後、3Dプリンターを購入しました。
大きなきっかけとなったのは、やはり造形仲間からで3Dプリンターについての情報を一気にインプットできたためです。
断片的に用語は知っていたものの、決め手に欠けている状態でした。
こんな時、実際に使ってる方のお話(忖度なし)は非常にありがたいですね。
- メーカーはPhrozen(フローゼン)か、ELEGOO(エレグーor エレゴ)を使ってる方が多い印章。
- Phrozenは台湾、ELEGOOは中国は深セン。
3Dプリンターの導入に際しては、事前に設置場所の確保や、レジン臭のチェックなどを行っていたので「後はどの機種を買うか?」にフォーカスすることができました。
まずは3Dプリンター本体と二次硬化マシンを購入。
自分が購入を考えていた頃、ちょうど国内の専門店、SK本舗さんが年度末セールを発表しました。
「世界情勢、物資高騰から4月から高くなるよ」という話もあり、4Kモデルかつ大きな作品を出力できるならとELEGOO SaturnSに決めました。(買った直後に8Kモデルが出て少し凹んだのは内緒)
また出力した作品を洗浄・自然乾燥後に追加で硬化が必要とのことで、こちらもSK本舗さんのDIYキットを購入。
※あまり情報がなかったのですが、自分は自然乾燥後に2分ほど照射しています。
照射すると、レジンの表面の滑りが取れてカチカチになります。
08: 材料のレジンを買う。
光造形形式のプリンターの場合、作品を出力するために必要なのは液体のレジンとなります。
このレジンも大きく以下の二種類に分けられます。
- IPA(イソプロピルアルコール)での洗浄が必要なレジン
- 「水洗いレジン」
自分の場合は多少割高ではありますが、水道水で洗浄でき、臭いが少ないと言われている水洗いレジンを使用しています。
(割高とはいえ、IPAで作品や道具を洗浄する分を考えるとトントンではないか、という気も。。。)
ただ、最終期な作品の強度を出す為にあえて通常レジンを使う方もいらっしゃるので、ここは何を優先するかで決まるかなと。
IPA洗浄型にしろ、水洗いにしろ、そのまま下水道に流すのはNGです!
ここでは詳しく触れませんが、事前に処理方法(地域・自治体にもよる)を調べてから
導入することをおすすめします!
ELEGOOの水洗いレジン:
比較的安価で、白・グレーなどのスタンダードな色が揃っています。(透明色は無いようです)
こちらのレジンを使いたくて、ELEGOOの3Dプリンターに乗り換えた、というAmazonレビューを読んだことがあり、品質は良いようです。
※白とグレーの水洗いレジンを使っていますが、3ヶ月〜程度たった現在も特にひび割れなどは発生していないです。
SK本舗の水洗いレジン:
色数が豊富で、クリア色もあるのが特徴。アルミの容器が強そうです笑。
肌色を使っていますが、こちらも半年以上経過してもひび割れなどは発生していません。
臭いはどこのメーカーが1番少なかった?:
ELEGOO純正、SK本舗、それぞれの水洗いレジンを使ってみて、どちらも臭いに関して言えば「そこまで変わらない」というのが個人的な感想です。
ただ、臭いに関してはまさに「個人差」があり、以下のようなコメント・反応をもらっています。
- お化粧用の除光液のような臭い。多少臭いが、化粧用のUVレジンに比べたら遥かにマシなレベル。
- 大量のペンキを室内で塗った時の臭いに近い。
また、
他社の水洗いレジンで「無臭」をうたってる商品に臭い探知機(スカウター的に数値化するマシンがある)を当てたところ、通常のレジンの5倍くらい臭った、という記事を読んだことがあるので、いくら安くとも信頼のおけるメーカーから買った方が良いですね。
09: 3Dデータと、スライサーソフトを準備する
さて、ここまでで、3Dデータと、3Dプリンター類の準備を進めてきましたが、大詰めです
大昔の私は「3Dデータを、3Dプリンターに送ればすぐに作れるのかな?」と考えていましたが、そうではありません。
ざっくりとしたプロセスですが、以下の工程をふむ必要があります。
- ZBrushで3Dデータを作成する
- ZBrushの機能「デジメーションマスター」「3Dプリントハブ」を使ってスライサーソフトに送るためのSTLファイルを用意する。
- ZBrushで作ったデータは、そのままだとポリゴン数が多すぎてスライサーソフトや、3Dプリンターが対応できないため、データを軽量化する。
- スライサーソフトに送る(無料で使えるChituBoxが有名)
- ChituBox上で中空構造やランナー(サポート棒)を自動生成したり、レジン液がうまく流れるように穴を開けたり、プリント前の最後の準備を行う
- ChituBoxから3Dプリンターで利用可能なファイル形式にデータを変換し、USBメモリーなどで3Dプリンターにデータを送る。
- 3Dプリンターの準備を行い、実行。
特に自分は黄色線の部分のイメージがわかず、少し苦労しましたが、単語やソフト名、どの段階で必要になるかが分かれば、
先駆者がめちゃくちゃわかりやすい記事・情報を公開してくださっているのでそちらを検索、参照いただければと!
スライサーソフトのChituboxは↑から。ただしパソコン用ソフトです。
10: 3Dプリンター、初起動
さて、3Dプリンターを稼働するタイのミングですので、あると便利なグッズについて…
実は、ELEGOO Saturn Sなど、有名ブランドの3Dプリンターであれば最低限必要なものはスターターパック的に全て付いてきます。
ただ、それが地雷だったりすることも…。
例えば1番初めにサンプルデータ(チェスのルーク)を3Dプリンターを出力したのですが、これが本当に、台座からとれない。
誇張なしで30分のくらい格闘したし、台座も結構ボロボロになって凹みました。
そのような悲劇避けるため、最低限「3Dプリンターの台座から、作品をひっぺがす道具は良いものを揃えたほうがいいです」。
ニトムズのテープはがしカッター
モノづくりする人的には安心と信頼のOLFA製品
レジンを直接触るのはよろしくないので手袋必要。100均一のでも十分ですが、手にフィットする物を選ぶと良いです!
11: 出力した作品に、色塗りをしよう!
3Dプリンター出力品や道具を洗浄し、作品を自然乾燥させた後、二次硬化を行った後は…お楽しみタイム!色塗りです。
この記事の冒頭で登場したラルセイ君、再び。
このサイズ感だと、2、3滴の塗料で塗れます。
今回はそこまで複雑な色は塗ってませんが、以前購入したアーミーペインターと、買い足したファレホが活躍しました。
やはりミニチュア用塗料は、薄い皮膜でも発色が良いこと、すぐ乾くことなどから使い勝手が良いです。
自分も実際に買って試しているので、よかったら読んでみてください!
ミニチュア塗装の技法、筆などはこちらの記事をどうぞ!
大事なことなので強調しますが、
自分で作ったものに色を塗って、ニッコリするところまでが1セットです。
あと、もう一つ付け加えるなら、かっこよく撮影してブログやSNSに載せたいところ……
そんな方には撮影ボックスもオススメですよ!自分も最近買ったのでレビュー記事を書いています!
12:ざっくり、まとめ。
さて、ここまでの内容で「自分でミニチュアを作って色塗りをす」という目標は 一旦達成されました。
自分の場合は結構回り道をしてしまいましたが、ざっくりいうと以下の手順を踏めば、作れます!
- ZBrushやNomadSculptで形状を作り、
- ZBrushの教材で学べばデジタル造形の基本は抑えられる。
- デジタル造形自体がピンとこない人は、アナログ造形をやるとイメージが掴みやすくなります。)
- 3Dプリンターや道具の準備をし、
- 具体的にどの機種?や個人所有のメリット、デメリットをメディア特性上言いづらい方が多いと思うのですが、今回この記事でかなり踏み込んで書きました。
- スライサーソフトで3Dプリントの準備をし、
- 意外とZBrush教本から、この流れの説明は少ない。「ChituBox ZBrush」でぐぐったり、YouTube動画で調べたりすると先人がやり方を完全レクチャーしてくださってるので理解できます。
- 3Dプリントを実施
- 色を塗り、写真にとって、ニッコリする
今は先人が残した偉大な情報と、そのスキマを埋めることができれば、個人でもここまでできるんだ… と、
改めてよい時代だなぁと思う限りです。
NEXT ACTION?
今回、デジタル造形のおおよそのワークフローは理解できました。
あとは自分の作りたいものをきちんと理解して、楽しく作ることを続けることが重要かなと思っています!。
ただ最近はねんど彫刻も楽しいので、デジタル造形、そしてこのブログと、色々MIXして創作を楽しんでいきたいと考えています。
3DCGができると色々と創作の幅が広がりますが、あまり手を広げすぎても疲れてしまうので、まずはじっくり楽しんでいこうと思います。
この記事がこれから始められる方のお役に経ちますように。。。!
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!