この記事では2022年5月に参加した「彫刻セミナー:クイックフィギュアコース」を受講した感想を書きます
このような方のお役に立てます
- 彫刻セミナーの「クイックフィギュアコース」への参加を迷ってる方
- 人間を作れないor描けなくて悩んでいる、なんだかポーズが決まらない、解剖学に苦手意識がある方
※彫刻セミナーについては以下の記事でも書いています。
目次
人体彫刻のブートキャンプ!
クイックフィギュアコースは 、短時間でたくさんの人体を作る(MAX一日で4体!)彫刻セミナーの中でも人気が高いコースです。
片桐ブートキャンプ、彫刻クロッキー…さまざまな異名で呼ばれていたりもしますが、効果が凄まじいので予約が速攻で埋まります。
いきなりですが、Before/After。
Before(受講する前)
受講前の作品?クイックフィギュアを受講する前に、予習がてら片桐先生の本を参考に作ったものです。
作るのに半日はかかったはずなのに、形が全然取れていません。(参考本のポーズがいいので勢いは感じられる?)
こりゃひどい。
After(受講した後)
もう一方のこちらはクイックフィギュアを受講して、 この記事を書く前にちょっと作ってみるかなというノリで作りました。
2時間ぐらいでつくれました。
理解できている部分は考えながら作れるので、手戻りが少なかったです。
(理解不足なところは、形も怪しくなる印象)
2023年3月追記
その後も粘土彫刻をちょこちょこやっていたのですが、シルエットをつかむ&ポーズ検討目的レベルであれば1時間きるくらいのスピードで作れるようになりました。
もちろん早けりゃ良いって訳ではないのですが、骨組みやシルエットの段階でイマイチだと、あとで全部やり直しになるので、ここの感覚を掴めたのは本当によかったなと思います。
これは3mmアルミワイヤーで使ってますが、4mmワイヤーのデカブツにも挑戦中。
また最近はデジタル造形にも手をつけてますが(例えばNomadSculptの講座とか作ってます。)、粘土彫刻で得られた気づきはデジタルでも応用が効くのでやっててよかったかも!?と思うことも。楽しいですしね!
そもそも、なぜ受講しようと思ったのか?
一般セミナーを受講中に「このセミナー、学びだらけで楽しい!」と確信し、終了後ほどなくして参加予約をしました。
この背景には「人間が作れない、描けない」という長期間にわたる悩みを、彫刻というアプローチで解決できるかも…思ったからです。
解剖学ってどうやって学べばいいんだろう?
ところで、創作活動のための、人体の覚え方って皆さんどうしてますか?
色々手段はあると思いますが、上手い人の絵や、解剖学書の模写が多いのではないかと思います。
実際自分も、さまざまな解剖学書を買って読んだり、模写して覚えようとこころみましたが…その度に挫折していました。
今は書籍だけでなく、解剖学の動画やアプリなど、便利なコンテンツがたくさんあるのに、それでも挫折してしまう……。
この苦手意識が続くと、創作自体が苦しくなってしまいます。困った!
最近だと、スカルプターのための美術解剖学、ソッカの美術解剖ノート、キムラッキの人体ドローイング…などなど、読み物として楽しい、視覚的に優しい本もありますが、すべて模写するには相当な時間がかかってしまいます。
こんなに良書がたくさんあるのに…!と凹んでしまう…
この問題を彫刻というアプローチで解決できないかなと思ったわけです。
ここから、クイックフィギュアのお話です。
準備、骨組みをたくさん作ります!
参加が確定したら、準備として、3mmワイヤーを使用した骨組みを、たくさん作ります。
この骨組みの作り方&使い方は片桐先生の書籍に書いてあります。
遠方で参加できない方や、参加された方は復習用にぜひ!
【事前準備】骨組み作成で注意すること:
実は自分、この段階でダメな作り方をしていました。
骨組みをつくる際は、お手本になる紙に沿ってワイヤーを曲げる必要があるのですが…女性なのに微妙に肩が幅広くて、男性みたいになっていました。
クイックフィギュア初日は早めに会場に向かっていたので、片桐先生にチェックいただき、セミナースタートまでになんとか修正できました。
セミナー参加者との会話で、
- 「肩幅が合わない」とか、
- 「関節の部分に印をつけたけど、 真上から確認しておらず、照らし合わせるとズレれた」とか、
- 「足が足りない(土台に埋める部分)」
- (後になって)胸の部分にパテをもりすぎて鎖骨・胸骨周辺に悪影響…
など、何かしら修正点が見つかるようなので、皆様お気をつけて!
彫刻ブートキャンプ、開始っ!!
まずは片桐先生から考え方や、作り方のレクチャーがあります。
※一般セミナーの時と同じように、デモンストレーション&解説が行われて行きます。
これらを踏まえて「ではやってみよう!」で、たくさん作っていくイメージです。
解剖学的なレクチャーもあり、知識面のアップデートが進んでいきます!
例えば…
- 「手足よりも体幹を最初にきっちり作れることが大事」というデモ&解説
- 肩関節・胸骨や、骨盤の解説、特にこのセミナーに参加したい人だったら確実に覚えるであろう「大転子」の大事さなど。
写真資料(人物)から、その方の構造(骨・筋肉)がどのようになっているのかを分析するパートもあります
例えば…
- 骨盤や肋骨はどう傾いているのか、ねじれているのか。
- 体の全体のバランスはどうなってるか、体の重心は?
これらの内容を最初は先生補足が入っている資料で行うのですが……後半は自分で普通の写真を分析して、自分で作っていきます。
これができるようになると、さまざまな写真や画像を資料化でき、深く読み解けるようになります!
骨のねじれや傾きやなんて、普段ほとんど意識したことがなかったので…新しい視点を得られたなと思います。
かなり実用的な資料なんだけど、その内容はその目で確かめてほしいっ!
クイックに作って、学ぶ!
少し自分が作ったものを、写真で載せていきます。
このような形で1日目と2日目、は「先生レクチャーを見る&聞く、資料を分析する」そして「作る、次!」を高速で繰り返しました。
最終日の3日目で、メチャクチャ人体の構造に詳しいモデルさん(yuさん)&片桐先生の解説を見て聞いて…自分も作るというスタイルになりました!
特に背中・肩甲骨の部分の理解をじっくり観察できたので、「なんとなく肩甲骨の膨らみを入れておこう」から…「この動きをすると、こう見え方・形が変わるのか!」へ、理解が深まりました!。
これがいわゆる「説得力のある作品」の足がかりになるんだなと、思った次第です。
参加しての、学び。
作ってる最中は大パニック。でも、ガッツリ経験値を稼げた。
本当に怒涛の3日間でした!初の経験者クラスでもありましたが、みなさまのレベルも、クラスのレベルも高い…途中で結構パニックになっていました笑
ただ何度も何度も作り続けていくと、「ここの部分は骨がこう動くから、こんな形になるはず」といった 気づきのストックがどんどん増えて、造形スピードが速くなりました。
「”悩む→無闇に手を動かす→よくわからなくなる”」の悪循環が減っていくので、良い意味で客観視が進むのかなと。
また短時間で作って躊躇せずに次に進むというサイクルをするので、1作品に執着をしないという気持ちに切り替わっていきます。
これは後に受けた「頭部クイック」でも同じで、量が質に転化するという現象が起きていたんじゃないかなと思います
解剖学へのとっかかりが、できた。
長年の悩みだった「人間の作り方」、解剖学に対するとっかかりができました。
もちろん個別の筋肉、骨、まだまだ覚えられていません
ただ、「丸暗記スタイル」ではなく「まず自分で作ってみて、お手本と見比べて、違和感をもち、じゃあここの部分はどうなっている?」と言った覚え方をしたものは、定着することを実感しました。(つまり表現の引き出しが増える!)
またモデルさんを見て骨と筋肉が動きまくることを再認識、モーションによって体がどのように変化するかを学びたいと思いました。
※あまり動く解剖学資料を知らないのですが、アプリであればビジブルボディシリーズに体の動きが少し掲載されています。
「自分が理解できていない点を、理解できた」
例えば以下のような事が苦手だと気がつきました。
- 自分の場合は特に関節の動き(例えば手のひらが向いている方向で、肩から動きが変わってしまう)、
- あるいは背中・肩甲骨がどのような動きをするのか。それに伴って筋肉はどう連動して動くのか。
- 骨盤の形が難しい…あれ、大転子よ、どこいった…
これらは、彫刻していて迷いやすかったり、ゆえに何度も先生に指摘されるポイントだったり。
やってる時は「一体どうなってる?謎だ...!」と心がへし折れそうになります…
が、それがある分、セミナー終わった後に調べよう、と言う気持ちになれます。
なので、これを繰り返せば上達していくんだろうという、一周回ってポジティブな気持ちになれます。
改めて、ビフォーアフターの話
作ってから気がついたのですが…
「この形は、なんだか違和感あるな」とか、「この陰影の落ち方はしないだろう」といった客観視を少し意識できるようになっていました。
このおかげで「何かわからないけど、とりあえず盛って・削って、大混乱」な作り方をしなかったのが素早く作れた理由かと考えています。
まとめ
「人間の作り方・描き方に自信がない…」こんな状況で参加しても良いんだろうかと思っていたのですが、片桐ブートキャンプのおかげで人間の形を作れるようになりました!これは自信につながりました!
また人間の体を作ると、凹凸、影、くぼみ、様々な形に直面します。
このタイミングで「お前が有名な○○筋だったのか!」と調べると、解剖学が体に染みます。
筋トレ後、30~45分以内にプロテインを飲むと効果的みたいな…?
今回作った骨組みは8頭身。なのでカッコイイモデルさん体型です。
他の頭身もルーミス先生の本に書かれていたと思うので、チャレンジするのも楽しそうと思いました。
(4頭身は赤ちゃん、6頭身でも子供みたいな説明があった気がします)
2023/03追記
ネットの海を漂っていると、偉大なる先人様たちが
- 6-6.5頭身のキャラクター(マンガ、アニメ、ゲーム系)ならだいたいこんな解剖学になってる!を解説してくれていたり!(ZBrushでいうところのAnime-Head)
- 少しリアル目の体型&顔つきだと7頭身くらい。リアルすぎず、anime-Headでもない形はこんな感じ!
など、まとめまくってくださっています。
自分の場合は彫刻セミナーで最初に「リアル寄り」をやったため、デフォルメの難しさを感じていました。ただ、「3次元空間なのに二次元キャラが違和感なく成立する形」を徐々に学んで、ある程度「リアル←→デフォルメ」のスライダーを調整できるようになりました。
これらの解説を読んだり、作品を見てこうやってデフォルメしてるのかぁー!と学んでいくうちにちょっとづつ、自分のやりたいことに近づいていくのかな?と思っています。
さて、長くなってしまいましたが…
- 人間を作れない、描けなくて困ってる、
- なんだかポーズが決まらない、
- 解剖学に挫折し続けた…
このようなお悩みを抱えている方、参加してみると、気付きがたくさん見つかると思います!
ただ、年始(2023)にゴールデンウィークのクイックフィギュアの予約が始まって、数日で予約待ちになる状態なので気になる方は事前に問い合わせをしておくと良さそうです…!
以上参加レポートでした。
今回も読んでもらってありがとうございました!
クイックフィギュアや頭部クイックをやった後に、改めて書籍を見直すと、理解が一気に進みます。
Amazonレビューにもありましたが、復習に最適です。
でも、事前に作っておくと、この記事みたいにBefore/Afterを見れるので、
受講前に一回作っておくと成長が実感できるよ!
後日談
書籍を参考に模刻したところ、骨格や筋肉の部位が覚えやすくなりました。
この後、解剖学書を読んだところ以前は全然頭に入らなかったのですが……
今回はとっかかりがあったおかげが、「読める…!」「あぁ、あそこの部分のことか…」という状態に!
個人的には、なぜ生物(ニンゲン、その他)がその形になったかをイラスト交えつつ、文章でガッツリ解説してくれる、ソッカの美術解剖ノートを読み…
その後に、文章少なめだけど写真と解説画像でビジュアルで覚えられる「スカルプターのための美術解剖学」の合わせ読みが、とても効果がありました!
※個人的には眼球周辺や、マズル(口周辺)が非常にわかりやすく解説されていて「なるほどー!」を連呼してました!単純な形に変換して理解するって、大事ですね。
模刻して、知識を入れて、また模刻しての繰り返しで理解が進みました!
この記事の冒頭で記載していた「彫刻で解剖学を覚える」は結構有効な手段なのかもしれません。
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よろしかったら見てみてくださいねー!