この記事がお役にたてそうな方
- NomadSculptチュートリアルを読んでいただき(感謝!)基本的な使い方を知って頂いている方。
- 人の顔って、どうやって作るんだろう?と思われている方。
目次
前回作った顔の反省会……もうちょっと、なんとかしたい!
ちょっと事前準備が足りなかった前回!
実はNomadSculptで顔をつくるのは2回目になります。
前回作ったときは技術的な学びが多く得られたものの、顔自体は「なにか違うけど、どこが違うかわからない……」でこねくり回して時間だけが経過していく状態に…
マズル(口周り)が出すぎ、口が横長すぎ、ほうれい線が出すぎて老けて見える……
他にもいっぱいあるけど、「もーよくわからん!」ってなる特はあるよね。
それもあるのですが、もっと根本的な「どんなテイストで作りたいの?」ってところがなかったのが一番のネックでしたね…
ある程度狙ったものを作る。 〜自分が作りたいのは、どのレベル感?〜
同じ人間の顔を作るとはいえ、どのようなテイストにしたいかで採用するプロポーション(比率)は大きく変わりますし、用意すべき資料も変わってきます!
たとえば、ざっと上げてみても、以下それぞれは、ずいぶんイメージが変わってきます。
- 超リアル(ハリウッド実写映画のCG、リアル志向のゲームなど。3Dスキャンで俳優さんをスキャンしたりもする。)
- 日本のマンガ・アニメ調(デフォルメ系)
- 海外の3DCGアニメ映画調(デフォルメ系)
- セミリアル(semi-real)調。(デフォルメ系)
自分が作りたいものの棚卸し。
今回作りたいものは、①の超リアル志向ではなさそうです。
自分の心に正直になってみたところ、意外と丸っこい・可愛いものが作りたいんじゃない?という気持ちがありました。
じゃあデフォルメの効いたマンガ・アニメ・カートゥンの方向か!?というと、それもちょっと違かったり。。。
デフォルメは実は、難易度が高い。
イラスト・漫画・アニメなどのデフォルメ表現は、二次元の世界で説得力を持たせるために作られた表現手法です。
それらを原作とするキャラクターフィギュアは、平面世界のものを、3次元空間に持って来て、360度どこからみても違和感を感じない、超高等技術。
デフォルメには独自の文法(それこそ国ごとに!)があり、少しでも外すと一気に全体が崩れます…
その理由は、リアル世界の複数の表現要素を1つに統廃合・凝縮しているから!
(例えばマンガ・アニメ調だと、頬骨・鼻・口周辺のマズルが統合されている……のに、自然に感じる、といった具合に)
リアル調のもので長く練習をしていたので(物理粘土含む)、その特性を活かした方向性で作ってみたいなぁと思っていました。
じゃあ、リアルっぽいけど、デフォルメっぽいって、なんてジャンルになるの?というのが最近のお悩みでした!
Semi-realという方向性。
「ガチリアル」でも「デフォルメ」でもない表現って何ていうんだろう?
和ゲー(NieR:Automataとか。)だと、よく採用されている表現だけど、名称がわからない。
※洋ゲー(Detroit: Become Humanとかはリアル系の認識。3Dスキャンとモーションキャプチャ……)
というわけで、ネットの海をうろちょろしていました。
そこで英語圏の創作界隈で「セミリアル(semi-real)」という用語を見かけ、「そうそう、こういうやつ!」と膝を打ちました。
もちろん、この「Semi-real」の中にもグラデーションがあるので、自分の好みの資料を集めつつ、
いざ顔表現のリベンジへ挑みました!
制作開始!まずはプロポーション(比率)を頼りに。
「セミリアルを作るぞー!」と言ったものの、実はリアル系の「10代女性」のプロポーションを参考に作っています。
自分の認識だと、「だいたいリアル系なんだけど、目がでかい、口小さい、表面滑らか」で期待する効果を得られるのでは?と思いました。
というわけで、しばらくシンプルな図形が並びます。
この本の「顔パートの一番最後」に性別・年齢別のプロポーション図が載っていたのでそちらを使いました。
とはいえ、だんだん「測って作ってるけど、なにかおかしい」が増えてきたので、徐々に感覚的に作る方向にシフトして行きました!
ここの段階で止まっちゃった(悩んで、迷走)のが前回かな、と思います。
試行錯誤フェーズ
この段階で目や耳を入れ始めました。前回は眼球に直接瞳孔を描いてましたが、
今回は穴あけ型(リアル彫刻作品、ちょっと良いフィギュアでみかけるやつ)を採用しました。
NomadSculptは簡易的にブーリアン処理ができるので、球を2つ使って作りました。
上の画像だとまだ調整が進んでいませんが、まぶたを追加したり、目の大きさを調整していくと少しづついい感じに!
恐らくリアルなプロポーションだと、目はもっと小さいですし、尾翼も広がるし、あごももっと必要……!
ただ今回は「セミリアル!」と決めていたのでゴリゴリ作っていけた感があります。
目玉は「アニメ・マンガ型」なのに、他の部分が「リアル型」だと整合性とれなくなるもんね。
「髪の毛どうしよう?」問題。
さて、ある程度顔ができたところで、非常に悩ましい「髪の毛」に着手します。
よくやりがちな失敗としては......
- とりあえずマスクから髪の毛部分の厚みを作る(ここまではOK)
- ノリと勢いに任せで「ブラシ」「粘土」などでカタチを作る → 背面マスク入れ忘れてメッシュが破れて終了(前回やった)
- ②の対策をしたが、髪の端をZBrushでいう「Snakehook + SculptrisPro」でゴリゴリ伸ばす → いけなくはないが、どうしようか迷ってお蔵入りリスク大。
- ③を想定して、チューブブラシで髪の毛を作る → どうも単調になりがちで「なんか違う」で迷う。時間かけた割にはイマイチな仕上がりに……
今回も一通り試して「なんか違う」となったので、ちょっとアプローチを変えました!
「マスク > 設定 > 取り出す」を薄く繰り返す!
個人的にはこのやり方がしっくり来ました!
「マスクを描いて、その部分のメッシュを取り出す」の応用ですが、少しづつ凹凸を構築していけるので
- 「ちょっとリズムが単調になってきたから、少し髪の幅を変えてみよう」
- 「こっちから髪がはいって途中で、別の所から出してみよう」
といったコントロールがしやすかったです。
最初から髪を立体的に捉えられる方は「粘土」「ブラシ」などでゴリゴリ作っていけるかと思いますが、
自分はまだその域に行けないので、しばらくこの方法で修行しようと思います!
最後は肌のマテリアルを「サブサーフェース(人の肌みたいに少し光が透過するようになる)」にしてみたり、
目元を調整(虹彩と瞳孔を分ける、形を変える)を調整して、完成!
まとめ & NomadSculptの限界を攻めた話
まだまだ手を入れられるところはありますが、セミリアルな顔を作れたので一旦以上にしようと思います!
本当は色をつけたり、すでに作ってある素体と繋げてみたり…を考えていたのですが、
ゴリゴリ作業を続けていたところ、頂点数が10M(Mはたぶんミリオンだと思うので、1,000万!)を超えてました。
ポストプロセスをオンにしたり、マテリアルに透過素材を使うと、たしかにカクつき始めますが、オフにすればまだまだ作業ができそう……
が、iPad Pro (2018)が限界突破しそうな発熱っぷりだったのでドクターストップとしました!
(メモリ使用量なども通常時の薄グレーから、どんどんドス黒い赤に変わっていくので限界攻めてる感がすごいです。)
NomadSculptはお外でも気軽に……そして、いつの間にかガチで造形しまくってしまいますが、
気がついたらバッテリーが半分以下になっていたりするので、外で集中したい場合はモバイルバッテリーのお供がほしいところです。
そしてワークフローとして、1,000万に行きそうになったら不要なパーツを消すなり、ZBrushにもっていく準備を始めたほうが良さそうです。(このポリゴン数だと、他ソフトだと激重か、そもそもNG食らいそう)
もしZBrush Coreユーザーの場合、上限が2000万ポリゴンまでだったはずなので、このまま突っ込んでも体や衣装を作り込んでいると早めに上限に到達しちゃうかも。
頃合い見計らってポリゴン数下げるクセをつけないとだね。
自分がiPad Pro(と、MacとかiPhoneとか、WindowsノートPCとか)を持ち歩く&長期戦が想定される時は↑のバッテリーを持っていってます!
ただ、今までの作品作りでは「ちょっと温かい」くらいで済んでいたのが、10M頂点近く&重め処理で「熱い(触れるけど)」に変わっていたのであまり無茶させないほうが良いかもしれません!
それでもクラッシュしなかったし、最新のiPad Proなら涼しい顔してNomadSculptを動かしてくれそう……
というわけで、最後は色々余談が入ってしまいましたが「セミリアルな人間の顔を作る!」でした!(作れてよかった!)
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!
今回もお疲れ様でした!お茶にしましょう〜
いきなり頑張っちゃうと疲れちゃうので、
ときどき休憩を入れながら、ちょっとづつ体得していきましょう〜!
※特に紅茶☕️でなくても全然OKです笑.上のAmazonリンクをポチってもらって、なんでも良いので購入いただくと、でじちんのお財布が暖かくなります!
いただいた支援は全額次の学びと記事化に使われます.いつもご支援ありがとうございます!
追記:これを作った半年後くらいに、人型フィギュアを作りました!
ものごとの進歩はちょっとづつだけど、積み重なって行くものなんだなぁと、しみじみ思いました。