この記事では 粘土造形、特にNSP粘土を使った造形を行う際に便利なグッズをご紹介します。
この記事がお役に立てそうな方
- 粘土彫刻、特にNSP粘土を触りはじめたが、持っていると便利な道具を知りたい方
- すでに粘土彫刻を行っており、良い方法を探されている方。
目次
はじめに
はじめに・・・2022年はじめ、僕は「自分でミニチュアを作りたい」と思い、デジタル造形を始めました。
その後「実際に手で作る感覚を得たいな」と思い、粘土造形を始めました。
これが意外と楽しく、徐々に観察眼が磨かれたり、あと地味にリラクゼーション効果が高く(※)頻度高く触っています。
最近は粘土で作って3Dスキャンをして、デジタル造形で磨き込むフローも見えて来たのでうまく連携させつつ、作品を作っていけたらと考えています。
リラクゼーション効果は「自分だけかな?」と思っていたのですが、以前楽しさ重視の粘土イベントを開催したら、参加者から同様の声を頂いたので、これはあるんじゃないかと…!
なにはともあれ…NSP粘土!
まず NSP粘土自体のことを説明します!
Chavant社製の油粘土。別名インダストリアルクレイと呼ばれており、細かなテクスチャを付けられることから特殊メイクをされている方がよく使っているそうです。
実は油粘土はあんまり好きではなかったです…
おそらく幼少期に使っていた油粘土が原因で、とにかく臭いがキツイし、洗っても取れないし、あまりいい思い出がなかったせいです笑
このNSP粘土は嫌な臭いはしないですし、さわり心地もとても良いです。
とはいえ油粘土なので手にはついちゃいますが、ティッシュで拭き取って、石鹸で洗えばきちんと取れます。
NSP粘土の特徴:温めると柔らかくなり、常温で固くなる
自分が主に使っているのはミディアムという硬さのものです。(他にもソフトとハードがあるようです)
この粘土は面白い特徴があり、温めると柔らかくなります。
室内の常温、例えば20°cから30°cぐらいで固くなります。
油粘土なので完全に硬化はしないのですが、彫刻ツールで削って行けるぐらいには固まります。
そして、60度~70度ぐらいになるとある程度形を保ったまま、柔らかくなるという特性があります。
これを利用して、最初に温めて柔らかくし、まずは荒盛りして大まかな形を作り、冷えて固くなったら彫刻ツールで細部を作るということができます。
ちなみに、温めすぎると完全に液体になります。
完全に液体にして型に入れる…という使い方もあるようどですが、普通に粘土造形では使わないですし、沸騰してる粘土は文字通り大やけどの危険性があります。温めるときの注意点です!
なかなか流通していない問題
さて、このNSP粘土、あまり国内であまり流通していません!
下に参考用にAmazonのリンクを貼っていますが、とてつもなく高いので、他のネットショップで探されるのが良いかと思います。
1ブロック1500~2000円位が、大まかな相場かなと思います。
NSP粘土 あたためグッズ
NSP粘土の温め方は、先人の方が様々なタイプを試されています。
- 一人用鍋(これは自分も使ってます!)
- ヨーグルトメーカー(ヨーグルティアは持ってるが…ご飯用に使いたい…)
- 粘土専用オーブン(!)
が、ここで自分が使って良かったものがあったのでご紹介します。
電気足湯(小型コタツ)
「一人用鍋」を使う前に使っていたのが、電気足湯(小型コタツのようなもの)です!
色々種類があるのですが、リンクを貼っている機種はデジタルで温度と時間を指定できます。
もともとは冬場に脚を突っ込む箱なので、結構なスペースがあります。
そのため大量のNSP粘土を温めたい時に重宝します。(新品の粘土を細かくする時など)
この製品の良いところは空間全体で温めることが可能なところで、NSP粘土をまんべんなく温めることができます。
なので 例えば65°に設定して、1時間設定で温めると、ブロックの形を保ったまま柔らかな状態できます。
その後はあのスクレイパーとかで、 細かく刻んでいき、タッパーやジップロックに入れて保存しておきます。
これをやっておくと、「作ろう!」と思ったときにすぐに制作がスタートできるので、心理的ハードルがかなり下がるので非常におすすめです。
ある程度の細かさにしておけば、指でニギニギしていくうちに体温で柔らかくなるので、温めツールなしでも作れるメリットもあります。
鉄板ツールだが、気をつけないと危険な「一人用鍋」
いい分量、大きさを手早く、温められ、卓上においておける大きさなど、NSP粘土造形で一人用鍋を使われている方が結構多い印象です!
自分は以下のリンクの商品を使っていますが、一人用鍋ならおそらく各社そこまで機能に違いはないかと思います。
気をつけないと粘土沸騰の大惨事に!
先程紹介した電気足湯とは違い、こちらは熱源(電熱器)が底面にしかありません。
また、厳密な温度設定もできません。説明書にもダイヤルの数値は目安ですと書かれるレベル。
なので、最大火力(?)は論外ですが、ダイヤルを1に設定しつづけていても、気を抜くと沸騰したNSP粘土が生まれてしまいます(一度やった)…
臭いが部屋を充満するだけでなく、 粘土も痛めますし、あわてて容器をひっくり返したら大惨事です。
下の写真の右下、NSP粘土が液体化してます。こうなったら電熱器から鍋をはずして冷やさないと危険です。
基本的には、一瞬温める、予熱で保温。蓋をして空間で温める。
そのようなわけで基本的な使い方は、(メーカーによりますが)数字を参考にせず、加熱スイッチをはいった最小値を数十秒だけ付けて消し、予熱で保温するのが良いです。
このタイプの鍋は、下の電熱器で発熱するんですが、 裏を返すとそこの部分しか熱い面がないので、接地している粘土はドロドロに溶け、上は固いまま…という使いづらい状態になります。なので、少なくとも使い始めは蓋を閉じて、予熱保温で少し放置(十分くらい)すると鍋内の空間が温まり、使いやすい状態になります。
ちなみにこのモデルの場合、鍋と電熱器が分かれているので、ちょうどよく温まってきたら卓上においたり、固くなったら電熱器に戻したりと、結構便利に使えます。
回転台(ターンテーブル)
実は回転台(ターンテーブル)はダイソーでも売ってたりします。
直径20cmのものと、30cmがあり、双方とも、ちょっと難があります。
まず30CM だとテーブルのスペースをかなり取るのでちょっと大きすぎます。
20cmのものはちょうどいい大きさなんですけど、 中央部分がすごい盛り上がっており、台座が安定しません。
なので自分は石粉粘土で、ガタつかないように平面になるように加工していました。
とにかくよく回ります笑
軽く胸像をのせて回してみると、シャー!と3回転くらいしてくれます。
なによりも、薄くて、フラットです。
粘土彫刻は常に様々な角度から見ながら作る必要があるため、回しやすさはかなり重要な要素になってきます。
市販の彫刻ツール
主には、 KemperToolsというアメリカの会社の道具で、プロの方こちらを使ってることが多いようです。
特に、小さい方ツールは後ろの部分が、いい形の木べらになっており重宝します。
恐らくはそのまま使っていても、 特に問題はないとは思いますが…
僕の場合は強度を少し上げるため、ワイヤーが出ている根元部分を、エポキシパテで補強しています。
自作の彫刻ツール
こちらは「DIYしたい欲」から生まれた自作ツールです。
材料はホームセンター等で売っている真鍮のパイプ(これの場合は5mm)。
これに細いステンレスワイヤー(0.5mm)を二重にして、ミニリューター(持ってない方は手動でも大丈夫だと思います)でよじったものをベースにしています
これを自分好みの形にしてエポキシパテで固めるという、ゴリ押しDIYです。
ただ、結構使い勝手がよく、そこまでギザギザしていないので削りカスがあまり出ない、テクスチャーを出しながら凹凸をならせるなど、意外と重宝します。
こういう自分のツールを作ってみるっていうのも 粘土彫刻の楽しみなのかなと思ってます。
骨組み用のワイヤー
人間を作ったり、動物を作ったりするときに、ワイヤーを使った骨組みを作ります。
自分は3mmのアルミワイヤーを使うことが多いです。
3mmまでであれば、色付きのアルミワイヤーがダイソーで売っています。
これで骨組みを作り、エポパテで接着。その後に1 mm ワイヤーでぐるぐる巻いて行くと粘土の食いつきも良くなります。
高さ30cmを超えるような人体彫刻だったり、大きめの作品は4mmワイヤーの使用をおすすめします。
ただ、結構固くなるのでペンチ、ラジオペンチ2本で曲げる必要がでてきます。
ミニリューターとドリル
プロクソンのミニリューターとドリルチャック
その昔、充電式のルーターを使っていました。
なにかを研磨する分にはそれでもOKなのですが、こと粘土彫刻の土台穴あけ(3mmアルミワイヤーを刺す)になるとパワー不足かなと思っています。
自分はプロクソンのミニリューターを使ってます。(別の目的で買ったのですが、役立ってます!)
ドリルは3 mm のアルミワイヤーを骨組みによく使う関係上、 3.2ミリぐらいの物を使ってます。
厚さ2cmのヒノキ材に穴を開けられるパワーがありますが、連続使用にはご注意を。かなり発熱します。
自分はこのミニリューターの先端を、小径ドリルチャックに換装しています!
骨組みに3mmワイヤーを使うなら、ちょっとだけ大きめのドリルを。
3mmワイヤーの骨組みに対して、3mmのドリルで穴を開けてもうまくハマりません。
3.1mmか、3.2mmかで悩みましたが、穴の差し替えやすさを考えると3.2cmで正解でした!
ただ、作品を持ち歩く際は土台からすっぽ抜けないようご注意を!
電動工具NGなら、手動ドリルか、ピンバイスを。
電動工具は結構な動作音がするので、住環境によってはなかなか使えない方もいるかと思います。
粘土彫刻の台座(木製・厚み2、3cm)であれば手動ドライバーでサイレントに決めるのも一案です。(昔諸事情で使ってた)
ピンバイスでもいけないことは無いですが、結構ツライかなと思います…
まとめ
NSP 粘土で 彫刻する時に便利なグッズを紹介しました。
細かなものはまだまだありますが、使っていて良かったと思ったグッズはまとめられたかなと思います。
今回もお読みいただき、ありがとうございました!
もともとは↓の書籍を実践する際に、「ここの工程ってみんなどうやってるんだろう?」と思い、記事化していました。
もし皆様のお役に立てていたら、嬉しいです!