彫刻 感想

粘土で顔と表情を作ろう!彫刻セミナー・頭部デザインコースに参加しました!(クリーチャーもあるよ)

2022年8月13日

デジチン

先日、片桐先生の彫刻セミナー(経験者クラス:頭部デザインコース)に参加してきたので、その内容を書きます!

なお、彫刻セミナー一般クラスについてはこのブログにまとめているので、「彫刻セミナーとは?」な方は以下もご参照ください!

頭部デザインコースとは?

2週間の夏期講習のうち、頭部クイック造形(3日間)と頭部デザイン造形(3日間)の6日間、ガッツリと人間と頭部や、クリーチャーの頭部を学べるコースです。

※以前にクイックフィギュアコースを受講したので、頭部もぜひ受講したいと考えていました!

  • 前半の3日間で、すべての人間に共通する土台を作っては壊しを繰り返して、体で覚えていきます。
  • 後半の3日間では、セミナー受講者が作りたいもの(クリーチャーだったり、人間のシワを作りたい等)をじっくり作っていきます。

頭部クイック造形(前半3日間)

一般セミナーの時は、創作にあたり必要な知識や心の重要性など、メンタル面の強化も含め、結構3日かけて胸像を作る内容でした。

今回は一般セミナーで3日間かかっていた内容を1日で作れるようになると言われており、
頭部クイック造形クラスで頭部の原型を作理をひたすら特訓した結果……本当に1日で作れるようになってしまいました!

この彫刻クロッキーとも言える特訓は、誰が呼んだか「片桐ブートキャンプ」と呼ばれており、
確かにヘヴィーでしたが……最終的にはvictoryな結果になりました!
(わからない方はビリーズブートキャンブで検索を 笑)

僕は最初、人体頭部の形をとるのに苦戦しまして、特にあの頬骨付近のハイライトが難しくて先生に何度も教えていただきました…(片桐先生のスクレイパーでサクーで形にが生まれる…!)

最初の2日間は、ひたすら作っては壊して、を繰り返すのですが、徐々に体(手の感覚?)が覚えていくんですね。

左:自分の。 右:先生のお手本。
作って学んだら、次っ!(スクレーパー、サクッ!

量を作っていくと、少しづつ自分の作ってるものに対して
「おや、不要な出っ張りが…直そう」とか
「ここの構造を捉えるのにいつも時間かかってるな、先生に聞いてみよう」改善サイクルが高速で回るので、量が質に転化する現象を実感しました。

(先生も学び始めは一作品に何ヶ月もかけるのではなく、クイックにたくさん作る大切さを懇親会で説明されてました!)

僕も3日目の朝には人間頭部の原型を1時間以内に作れるようになっていたので、成長を実感できました。

さらに例えばバックトゥザ・フューチャーのドク(※クリストファーロイド)のびっくり顔は、頭部クイックの3日目で作っちゃいました…

もともと後半の頭部デザイン造形でやろうと思っていたので、資料を使ってしまって嬉しい悲鳴!

ドク制作中

アルミでねんど節約&軽量化!
(今思えば、せめて肩から作ればよかったかも)
BTTF1のマーティーを未来に送った直後
髪の毛がつけるとドク感でる?

ドク完成!

真正面
45度
デジチン

個人的に、まさにGreat Scott!

頭部デザインコース(後半3日間)

後半の3日は頭部デザインコースといって自分の好きな物を作って良いコースになります。

※ひたすら動物を作る人、シワを追求する人、頭部クイックの続きをやる人などさまざまでした。

僕はというと頭部クイックの最後でBTTFのドクを作ってしまっていたので色々考えを巡らせた結果、狼男と表情作り分けにトライしようと思いました
(映画の時のドクに、現在のクリストファーロイド氏のリアルなシワを移植する事も考えていましたが…これは別の機会に!)

狼男…というかオオカミ編

動物の頭部は長い間「作りたいけど、ちょっと手が出ない」対象でした。

動物型クリーチャー(獣人)は、恐らく人間の骨格をベースに頭蓋骨のマズル部分を伸ばして、手足を動物仕様にすれば作れるのでは….という漠然とした仮説があったのですが試さずじまい。(The Elder Scrollsのカジート…というかジェイザルゴとかカミラさんとか、BEASTARSとか…)

ということで、獣人作ろう!そして資料が多い狼男にしよう!
良い資料が見つかりやすいかは、初心者のうちはかなり大事だと思う。

そう思い立ち、ホテル戻った後に急いでiPadで資料集めをして、近くのセブンでネットプリントしていました…!※今回は体力温存のため、変則的に会場隣のビジネスホテルに泊まってました。

そして実際に作り始めると…なんと1日目でかなり形が取れることができました。

オオカミ(?)制作中

正面
45度

作りはじめの段階。何か違うが、何が違うかわからない時に「目が下すぎ&広すぎだとキツネっぽくなるよ」と先生からのアドバイス…

真横

これに限らずなんですが、片桐先生が対応できる対象がめちゃくちゃ広いというか、作れぬものなど無いんじゃないかと…。

例えばオオカミ作るのであれば、頭の中心部分が凹んでるよとか、マズルの部分こうなってるよとか、牙の角度はこうするとカッコイイなど….。片桐先生は動物アナトミーの書籍も書かれますし。。。

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当初はこのオオカミを作り込むのも良いかなと考えていたのですが、更に欲が出たと言うか……次の課題に取り組んでみようと思いました!

オオカミ完成!

正面
45度

心がおもむくまま&先生アドバイスで…作れてしまった…!

真横

人間の表情作り込み(トゥーフェイス)編

実は人間の表情をもっと作りたいなと思っていました。

というのも一般セミナーを受けた時にあまり狙って表情を作れなかったのです(その余裕がなく、微笑み的な感じに。これはこれで好きですが)。

普段表情を作ろうとすると、漫画的な記号に頼ってしまいがちなので(特に眉毛の上げ下げで)、狙って造形できるようトライしてみました!

まずは土台作り。これは1時間くらいで作りました。ここから、お手本のナタリーポートマン(!?)に寄せるのに試行錯誤というか迷走したというか…。

まずは大まかな形をつくり…
ここまでは順調?
(今見ると口が大きすぎる…)
…どちらさま!?

ここに一般セミナーで作ったものと、並べます!

これはちょっと時間がかかり、2日かかりました。……が、最終的には結構いい代物ができたかなと思っています!

左:今回作成。 右:一般セミナーで作成。

何より、顔半分で表情が変わる造形は一度やってみたかったので、ちゃんとトゥーフェイスになってよかったです!

笑顔方面

真正面
笑顔45度
笑顔横!

悲しみ方面

真正面
悲しみ45度
悲しみ横。
デジチン

今度はリアルトゥーフェイス(ダークナイトの)作ってみようかしら…

全体を振り返って…

今回、6日間連続参加したのですが、意図したキャラクターを3つ作り、練習用の頭部原型はもっとたくさん作った形になります。

一般セミナーの時は3日間で胸像(顔がデカすぎて胸像になってないですが!)1つが精一杯だった所を考えると、
制作スピードが爆速化し、より多くの、より難易度の高い頭部を作れるようになったな、と実感しました!

メタ的な気づき:作品から距離を取ることの意味。

よく片桐先生に「作品から距離を置いて観察するクセをつけないと細部だけを作り込んでしまって、全体のプロポーションを見れなくなるよ!」「全体のプロポーションが間違っていると……どれだけ細部に手を入れても最初から作り直しになる!」と指導いただくことが多いです。
※実際に片桐先生が作品を作る際も、さっと後ろに下がって、作品を遠くから眺めて、また一箇所追加/修正して…を繰り返すそうです。

これ、なかなかピンと来なかったのですが…今回やってようやく理解できてきました!(物覚えが悪い生徒です…)

僕は以下の行動をとった時にこの重要性を理解しました。

具体的には、まず自分の作品から3 メートルぐらい離れて、街歩きをしてる時みたいに「あ、あのショーウィンドウに入ってる製品いいなあ」という感じで横目で見る感覚で歩いて見るのです。

これを個人的に「ショーウィンドウ流し見法(仮)」と命名しました。

デジチン

これをやると、面白いぐらいに、おかしな箇所が目に入るようになることに気がつきました。

自分なりに、なぜこの現象が発生するんだ?と考えたのですが…

ひとつには、自然に客観視できるようになるからだと思います。

普段街を歩いてて、用事があり急いでて、たまたまちょっと目があって…だと本当に一瞬しか見ることができません。しかも物理的にも遠い。そうなると細かな点見れないので印象とか雰囲気とか、そのレベルで見ることになります。さらに高速で横切っていく形になるので自然と様々な角度で作品を見ることができます。

するとどうなるか。

明暗差や、影の落ち込みなど、全体で見ると不自然なところがスッと目に入ってくる。

そして「なんでここに影が落ちてるんだろう?」とそのまま近づいて見ると、やはり不要な凹凸がついている!

それを修正して、またショーウィンドウ的に横目でみて…を繰り返すうちに徐々に違和感が少なくなってくる。これに気がついた時は「そうだったのかー!」と非常にテンションが上がりました!

これに付随して今回、粘土に落ちこむ影で、形状の印象が作られてく事にも気が付けました。

これもよく先生に指摘を受ける「この部分はもっと奥!」ですが、いわゆる陰影(シェードとシャドウ)を意識する事であり、文字通り新たな視点を得ることができました。

まぁ、作品から離れて遠くから見ましょうということなんですが。

「ショーウィンドウ流し見法(仮)」の落とし穴

ただ、この「ショーウィンドウ流し見法(仮)」にも注意点があります。

それは「自分の作品だけを見ていることが多くなる」ことです。

そうすると何が起こるか?

おかしくな点を見つけて修正するのにハマってしまい、今度は参照元の資料・モチーフを見なくなってしまって、自分の脳内にある「これはこういう形だろう」という誤った形に引っ張られるという事です。

デジチン

きちんと資料・モチーフを見るのは基本中の基本的なのに。。。!

自分も皮膚と骨の関係性がごちゃごちゃしてしまい、よく見るとおかしな状態になっていたりしました…。

そのようなわけで作品から離れ歩いて横目でみるアプローチはすごい有効なのですが、資料・モチーフも見ないと駄目です…というのが今回の反省点です。

とはいえ、今までより全体で見て、さまざまな角度で常に見る事で造形力が高まっていったので、こういう気づきを積み重ねていきたいと思ったところです!

まとめ

6日間ずっと立ちっぱなし、歩きっぱなしで、なかなかにヘトヘトな状態になってしまいましたが、今回も学びがいっぱいあり、大満足な6日間となりました!

まだまだ作りたいもの、先生に教わりたいことはたくさんありますが、今回の経験を活かして創作を頑張っていきたいなと考えています。

人の表情について意識が向くようになりました。例えば…

  • ネットに上がってる人物写真を見て「ここ構造、こうなってるのかな?」と分析的に見れたり....
  • あるいは「人間は骨格がある生き物。他の動物も骨格があるって言うところは共通しているので、人間のマズルの部分を長くするクリーチャーを作れるのでは…と、クリーチャーデザインの基礎も学べました。

本当に非常に有意義だったなと思ってます。

なにより…ねんど造形は楽しいですね…!

脳内イメージが立体物となってアウトプットされると、それだけでもテンション上がります。

というわけで長くなりましたが彫刻セミナー頭部クラス参加レポートでした!

参加を悩まれてる方は頭部クイックだけでも受講すると造形力、創作スピードが向上すると思うのでぜひぜひご参加検討してくださいー!

オマケ:彫刻ツールの話

今回つくった粘土彫刻は、基本的にセミナーで無料貸し出しされている彫刻ツールで造形しています。

理由は以前、片桐先生から「小さなツールで作業するのは、全体のプロポーションがとれてから!」と頂いたためです。

これを意識して今回はスクレーパーでザクザク作ってました…!

デジチン

ちなみに公式サイトのショップや、会場の物販でも同じものが買えます!

ただ、瞳孔を掘りだす時や、家で細かな造形をする時には、↓のツールを改造したものを使っています。

※円型をペンチで潰してエッジをシャープにしたり、使い切ったアルミホイルの箱についてるギザギザを使って簡易レイクツールにしたり。

道具をDIYするのも、楽しいですね!

みなさま、よき彫刻ライフを!それでは!

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