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自分が知らないイラストレーターに会いに行こう!
毎年年末に発売の、今を彩るイラストレーターがわかる翔泳社の「ILLUSTRATION」シリーズ。
昨年末に「2022」が出ていたのでお正月休みを使って読んで(眺める?)いました。
最近は様々な会社から「イラストレーター年鑑」が発売されていますが、個人的にはこのシリーズが気に入っています。
理由はかわいい女の子以外もバランスよく掲載されている点ですね。
超絵がうまいイラストレーター(あえて絵師とは言わない)の描いた女の子を見れるのも素晴らしい体験です。
ただ、このような出版物に求めているのは
「今、どんなイラストレーターが、どんな絵を描いているのだろう?」を教えてくれる、
もっと言うと「自分のアンテナの外にいた人を知ることができいる」点なので、
「上手いなー」
「こういう表現もあるのか」
「上手いなー」
を延々繰り返しながら見ていくのです。
どんな道具で描かれているのか?
さて、ひとしきり眺め終わったあとに気になりだすのが「この本に載っているイラストレーターの皆様はどうやって描いている?」という点です。
ありがたいことに、この書籍は見開き2ページを使ってイラストが掲載されている他に、何をつかって描いたか(How)と、何を大事にして描いているか(Why)も掲載されているんですね。
後者のWhy?については人それぞれではありますが、前者のHow?(どのように描いているか?)についてはある程度パターンがあるなぁと思ったのです。....なので、まとめてみました!
どのようなお絵かきデバイスを使っているか?
iPad Proのみ | 74 |
iPad Air / mini | 2 |
iPad Pro + 液タブ | 10 |
iPad Pro + 板タブ | 8 |
iPhoneのみ | 1 |
液タブのみ | 24 |
板タブのみ | 12 |
アナログ画材のみ | 19 |
→合計150件
※液タブはWacomの液タブCintiqがメインですが、中華液タブの方もいますし、板タブもWacomのintuosが多いですが、そうでない方もおります。
まず第一印象...「iPad Pro ユーザー多いな!」
確かに私も便利に使い倒していますが、イラストレーターの皆様が併用も含めると、約2/3がiPadで絵を描いてるというのは新鮮な驚きですね。
たしか「ILLUSTRATION 201X 」に載ってる制作環境を見ると、
過去はデバイスは圧倒的にCintiq+Intuosが多かったイメージで、
使用ソフトは「Photoshop」「クリスタ」
が多かったです。
…が、Pencilが使えるiPad(特にPro)が普及したことで、
- PCとiPadで使えるAdobe社のサブスクを使う!Photoshop慣れてるし。
- PC版クリスタの膨大な資産があるので、iPad版クリスタのサブスク、致し方なし…!
- IPadで描くなら買い切りのProcreateという選択肢があるかぁ....など、
各イラストレータの選択に思いを馳せたりします……
一方、非デジタル画材のみで制作を行う方もおり(むしろ併用も含めるとかなり多い?)
「自己表現をするのにツールにとらわれる必要性は無いよなぁ」と気づかされます。
※リアル鉛筆・ミリペンなどで線画を描き、塗りはデジタルを使う方。
または最後の塗りもアクリルガッシュなどで仕上げてしまう方。
使えるものは(デジタルもアナログも)何でも使って作り上げてしまえ!と背中を押された気持ちになりますね!(じんわり
では使われているソフトウェアは?
まず結論から言うと、「併用前提」な感じです…!
もちろん1つのお絵描きソフトを利用されている方も多いです。
具体的には以下の通り。
CLIP STUDIO PAINT EXのみ | 4 |
CLIP STUDIO PAINT PROのみ | 31 |
Photoshop CCのみ | 10 |
Procreateのみ | 10 |
アナログ画材のみ | 11 |
この数字だけで見ると「クリスタ(PRO版)強いなー」となりますが、あくまで単独で使われている場合です。
集計した印象ではprocreate+クリスタ、クリスタ+Photoshop、または全部、更に他ツール(Adobe内外)とセットなど、併用が多く、
集計・分析を断念しました…(ニーズありそうであれば追加調査します!)
恐らくではあるのですが、PCで慣れているツールをiPadでも使いたい、または最終調整はPhotoshopで行って納品したいケースもあるのかなぁと。(もちろんプロの場合は契約にもよると思いますが。)
まとめ
今回は「ILLUSTRATION 2022」に掲載されていたイラストレーターの利用デバイスやソフトウェアをまとめました。
個人的にはお絵かき環境がパソコン(+Wacom)から、どこでも持ち運んで描けるiPadに移行が進んでいることや、Photoshop、クリスタに続く第三勢力の拡大(Procreate)等、過渡期だなぁと改めて感じました。
一方で完全な非デジタル環境で描かれるかたも、ハイブリットな方もおり「使えるもんは何でも使って作品を作り上げるんだよ!」という強いメッセージを感じました。
まだまだ今後の創作活動のヒントになる内容が詰まっているので、引き続き読んでいこうと思います。
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追加:”ILLUSTRATION2013”について
10年ひと昔といいますが……実はこのシリーズの(おそらく)最初の発行物である「ILLUSTRATION2013」が手元にあります。(写真は後ほど...)
久々に手に取り、閲覧していたところ、掲載イラストレーターに以下のような傾向を発見しました。
- A:当時と比べ絵柄のモダン化を行って活動を続けられている方。
- B:現在の流行のきっかけを作った方(目元のにじみ表現に特徴がある)
※2022現在、絵柄はモダンに調整されているが、作風に大きな変更はない。 - C:90年代後半〜の画風を全く変えず、昔からのファンと作品を大事にされている方。
- D:Cとは反対に、名前の記載がなければ同一イラストレーターだとわからないほど作風が変化している方
この時代の制作環境には、PCに板タブ、Photoshopの他にPainter、SAIなど懐かしい名前が。
‘(当然iPad ProもApple pencilもない。液タブは高嶺の花だった…)
その他、リアル画材やコラージュなどで作成された作品も少なくない。
モチーフに若い女性が多く用いられている点は変わらないが、2013では引き気味のカット(広角)で全身が入っており、顔にフォーカスが当たっている点が2022と異なる。
2013年にといえばスマホの普及が進みつつも、まだガラケーユーザーも多かった記憶がある。
2009年にiPhone3GSが発売され、Androidは初代Xperiaが出たか出なかったか…
デジタルイラストを見る、ディスプレイのサイズや向きの激変や、鑑賞スタイルの変化などが、
イラストレーターに与えた影響は大きかったんだろうなぁと、色々思いを馳せたりします。。。